脳脊髄液減少症、闘病記

脳脊髄液減少症、闘病記

脳脊髄液減少症との歩み007

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脳脊髄液減少症を患う方のブログや体験記を読むと、ほぼ寝たきりで、立ち上がると起立性頭痛で苦しい場合が多い。
だから寝たきりになる。寝たきりが多いのは私もそうだ。


脳脊髄液減少症からのメッセージとは何か?こんなことを想像している。

三木成夫先生の著書を拝読すると、人類は生命の進化の過程の全てを内包した存在である。「万世一系の生命」という表現をされるが、哺乳類も、爬虫類も、両生類も、魚類も、無脊椎動物も、あらゆる生命の記憶である「生命記憶」を、私たちは保持している。

原初の海に、三十億年の昔、太古の原形質が生まれ、海水の中で進化が育まれ、五億年前に脊椎動物が誕生した。そして、今から三億六千万前のある日、水の中に住んでいた私たちの祖先は、生命のゆりかごを捨て、陸をめざして歩き始めた。海から陸への移住。それは生命の歴史の中でも最大の出来事だった。

環境の変化か、進化の必然か、上陸という冒険の開始…

海を追われた魚たちは、重力に耐える骨を作り、体を支える手足を伸ばし、空気呼吸のための肺を用意した。

この水棲の魚から、両生類から爬虫類、そして鳥類や哺乳類への一億年をかけた進化の歴史は生命のもっとも過酷でかつ長い試行錯誤の期間であり、あるものは又水棲に戻っていくことになる。

私たちの先祖は、生命史最大の試練を乗り越えた。しかし、試練を乗り越えられなかった無数の同胞もいたにちがいない。


試練を乗り越えられなかった無数の同胞が、私の病気に仮託し、鎮魂されることを求めているような感覚に気づく。先祖供養は大切だが、ここまでの先祖供養となると、少々重い。それでも、念と向き合う。内語で、お慰めを繰り返す。

・気圧の高い水の中は、生きやすかったね、幸せだったよね…
・睡眠という営みは昔はいらなかったよね…
・肺呼吸がつらいのなら、エラ呼吸に戻ろうか…
・環境の変化に適応できず、無念だったよね…苦しかったよね…


私は、脳脊髄液減少症という経験を通じて、陸から海への冒険に破れた輩の念をお慰めする。お慰めはするのだけれど、私が同じ過ちをするわけにはいかないから、先祖が早く成仏できるよう祈り続ける。私の病気回復と、途方もない先祖供養の営みは、必ずゴールが来ると信じている。